さくらのクラウドの「共有セグメント」と「ルータ+スイッチ」は何が違う?選び方と使い分けについて

さくらのクラウド , ネットワーク # ルータ+スイッチ # 共有セグメント

こんにちは。NERです!

さくらのクラウドでサーバを作成するとき、ネットワークの設定を見ると 共有セグメント や ルータ+スイッチ といった選択肢があります。

「共有セグメントとルータ+スイッチは何が違うの?」「自分の構成ではどちらを選べばいい?」と迷ったことはないでしょうか。
どちらもサーバをインターネットへ接続するために利用できますが、利用できるグローバルIPv4アドレスの数や回線帯域、料金などに違いがあります。
ルータ+スイッチでは、IPv6やスタティックルートなどの機能も利用できます。

今回は、「共有セグメント」と「ルータ+スイッチ」の違いや、それぞれがどのようなケースに向いているのかを紹介します。
また、実際に共有セグメントへ接続しているAlmaLinux 9のサーバをルータ+スイッチへ変更し、OS側の設定や通信についても簡単に確認してみました。

共有セグメントとルータ+スイッチの違い

サーバ作成時のネットワーク設定では、接続先として共有セグメントや、あらかじめ作成したルータ+スイッチなどを選択できます。

まずは、共有セグメントとルータ+スイッチの主な違いを確認してみましょう。

比較項目共有セグメントルータ+スイッチ
グローバルIPv4アドレス1個(自動割り当て)複数(IPアドレスブロックから設定)
回線帯域100Mbpsの共有回線100Mbps以上から選択可能
料金ネットワーク利用の追加料金なしルータ+スイッチの利用料金が別途必要
利用前の準備サーバ作成時にそのまま接続可能事前にルータ+スイッチの作成が必要
主な利用シーングローバルIPv4が1個でよく、100Mbpsの共有回線で要件を満たせる場合複数のグローバルIPv4や100Mbpsを超える帯域などが必要な場合

共有セグメントは100Mbpsの共有回線で、帯域保証のないベストエフォート型です。
サーバからのOutbound(送信)は100Mbpsに制限されますが、Inbound(受信)には帯域制限がありません。
ルータ+スイッチも帯域保証型ではなく、選択できる帯域や上限はゾーンによって異なります。

料金についても、単純に「追加料金がない方を選ぶ」と考えるのではなく、必要なIPアドレス数や帯域、ネットワーク機能などを確認して選ぶことが大切です。

共有セグメントとは

共有セグメントは、さくらのクラウドのサーバをインターネットへ接続する方法の一つです。

接続すると、システム側からグローバルIPv4アドレスが1個自動的に割り当てられます。
回線は100Mbpsの共有回線となっており、別途ルータ+スイッチを作成しなくても利用できます。
複数のグローバルIPv4アドレスや100Mbpsを超える帯域などを必要としない場合は、共有セグメントで要件を満たせるか確認してみるとよいでしょう。

ルータ+スイッチとは

ルータ+スイッチは、インターネット回線と複数のグローバルIPv4アドレスを利用できるIPアドレスブロックがセットになったネットワーク機能です。

100Mbps以上の帯域を選択できるほか、IPv6やスタティックルートなど、共有セグメントでは利用できない機能も用意されています。
IPアドレスはブロック単位で割り当てられますが、そのすべてをサーバに割り当てられるわけではありません。
たとえば /28 では16個のIPv4アドレスが割り当てられますが、ネットワークアドレスやルータ用、ブロードキャスト用として予約されるアドレスを除き、利用可能なのは11個です。

なお、さくらのクラウドには「スイッチ」という機能もありますが、こちらは主にサーバ間のプライベートネットワークを構成するために利用します。
スイッチを利用した構成については、以前紹介した「追加NICの利用シーン」も参考にしてみてください。

どちらを選ぶ?それぞれの利用シーン

共有セグメントとルータ+スイッチを選ぶ際は、現在の構成だけでなく、今後必要になるネットワーク要件も確認しておきましょう。
後から接続先を変更することもできますが、今回の検証でも確認したように、サーバ停止やOS側のネットワーク設定変更が必要になります。
将来的に必要になる要件が具体的に分かっている場合は、それも踏まえて選ぶとよいでしょう。

共有セグメントが向いているケース

共有セグメントは、次のような要件を満たせる場合に向いています。

  • グローバルIPv4アドレスが1個でよい
  • 100Mbpsの共有回線で必要な通信量をまかなえる
  • IPv6やスタティックルートなど、ルータ+スイッチ固有の機能を必要としない

ここで注意したいのは、「サーバが1台だから共有セグメント」という決め方ではないことです。
サーバ台数ではなく、必要なグローバルIPv4アドレス数や帯域、利用したいネットワーク機能などから判断します。

ルータ+スイッチが向いているケース

ルータ+スイッチは、たとえば次のようなケースで選択肢になります。

複数のグローバルIPv4アドレスを利用したい場合

複数のサーバにそれぞれグローバルIPv4アドレスを割り当てたい場合や、用途ごとにグローバルIPv4アドレスを分けたい場合などです。

ただし、「サーバが複数台ある=必ずルータ+スイッチが必要」というわけではありません。
必要なIPアドレス数をもとに判断します。

100Mbpsを超える帯域を選択したい場合

大容量ファイルを配信するなど、サーバから外部へのデータ送信量が多い場合や、Webサービスのアクセス増加を見込んで100Mbpsを超える帯域を選択したい場合などです。

ルータ+スイッチでは帯域を変更することもできます。
詳しくは以前紹介した「ルータ+スイッチの帯域変更」も参考にしてみてください。 ルータ+スイッチの帯域変更
ただし、アクセス数だけで判断するのではなく、実際の通信量や必要帯域を確認したうえで選択しましょう。

IPv6やスタティックルートなどを利用したい場合

ルータ+スイッチでは、IPv6アドレスの割り当てやスタティックルートなどの機能も利用できます。
こうした機能が構成上必要となる場合も、ルータ+スイッチを選択する理由になります。

共有セグメントからルータ+スイッチへ変更して確認してみる

今回は、すでに共有セグメントへ接続している検証サーバを使って、実際にルータ+スイッチへ変更してみました。

検証環境
・ゾーン:東京第2ゾーン
・OS:AlmaLinux 9
・変更前:共有セグメント
・変更後:ルータ+スイッチ(100Mbps/IPv4 /28)
※OSやネットワークの設定方法によって、必要な設定・コマンドは異なります。今回はAlmaLinux 9の検証環境で確認しています。

① 変更前の状態を確認する

まず、共有セグメント接続時のIPアドレスやデフォルトゲートウェイを確認しました。

[root@xxxxxxxx ~]# ip -4 addr
...(省略)...
2: eth0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> ...
    inet xxx.xxx.xxx.xxx/24 brd xxx.xxx.xxx.xxx scope global noprefixroute eth0
       valid_lft forever preferred_lft forever

[root@xxxxxxxx ~]# ip -4 route
default via xxx.xxx.xxx.xxx dev eth0 proto static metric 100
xxx.xxx.xxx.xxx/24 dev eth0 proto kernel scope link src xxx.xxx.xxx.xxx metric 100

[root@xxxxxxxx ~]# nmcli connection show "System eth0"
...(省略)...
ipv4.method:                            manual
ipv4.dns:                               210.188.224.10,210.188.224.11
...(省略)...
ipv4.addresses:                         xxx.xxx.xxx.xxx/24
ipv4.gateway:                           xxx.xxx.xxx.xxx
...(省略)...

あわせて、外部通信できていることも確認します。

[root@xxxxxxxx ~]# ping -c 4 1.1.1.1
PING 1.1.1.1 (1.1.1.1) 56(84) bytes of data.
64 バイト応答 送信元 1.1.1.1: icmp_seq=1 ttl=59 時間=1.56ミリ秒
64 バイト応答 送信元 1.1.1.1: icmp_seq=2 ttl=59 時間=1.56ミリ秒
64 バイト応答 送信元 1.1.1.1: icmp_seq=3 ttl=59 時間=1.36ミリ秒
64 バイト応答 送信元 1.1.1.1: icmp_seq=4 ttl=59 時間=1.51ミリ秒

--- 1.1.1.1 ping 統計 ---
送信パケット数 4, 受信パケット数 4, 0% packet loss, time 3004ms
rtt min/avg/max/mdev = 1.358/1.495/1.558/0.081 ms

今回は正常に応答がありました。

管理画面でも、共有セグメントへ接続されていることが確認できます。

② ルータ+スイッチを用意して接続先を変更する

今回は確認用として、100Mbps・IPv4 /28 のルータ+スイッチを作成しました。
ルータ+スイッチの詳しい作成方法については、さくらのクラウド公式マニュアルをご確認ください。

なお、ネットワーク変更後はSSHで接続できなくなるため、作業前にコンソールから操作できることも確認しておきました。
コンソールについては「コンソールの使い方」の記事でも紹介しています。

③ AlmaLinux 9側のネットワーク設定を変更する

ここで重要なのが、コントロールパネル上でNICの接続先やIPv4アドレスを変更しても、OS側のネットワーク設定は自動的には変更されないという点です。
公式マニュアルでも、コントロールパネル上のIPv4アドレス表示はOS側へ反映されるものではなく、実際の設定はサーバOS側で行うよう案内されています。

今回は nmcli を使用して、IPアドレスとデフォルトゲートウェイをルータ+スイッチ側の値へ変更しました。

[root@xxxxxxxx ~]# nmcli connection modify "System eth0" ipv4.method manual ipv4.addresses "<変更後のIPv4アドレス>/28" ipv4.gateway "<ゲートウェイ>"

設定を反映します。

[root@xxxxxxxx ~]# nmcli connection up "System eth0"

④ 変更後の状態と外部通信を確認する

変更後、再度IPアドレスとルーティングを確認しました。

[root@xxxxxxxx ~]# ip -4 addr
...(省略)...
2: eth0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> ...
    inet yyy.yyy.yyy.yyy/28 brd yyy.yyy.yyy.yyy scope global noprefixroute eth0
       valid_lft forever preferred_lft forever

[root@xxxxxxxx ~]# ip -4 route
default via yyy.yyy.yyy.yyy dev eth0 proto static metric 100
yyy.yyy.yyy.yyy/28 dev eth0 proto kernel scope link src yyy.yyy.yyy.yyy metric 100

[root@xxxxxxxx ~]# nmcli connection show "System eth0"
...(省略)...
ipv4.method:                            manual
ipv4.dns:                               210.188.224.10,210.188.224.11
...(省略)...
ipv4.addresses:                         yyy.yyy.yyy.yyy/28
ipv4.gateway:                           yyy.yyy.yyy.yyy
...(省略)...

変更前は共有セグメントの /24、変更後はルータ+スイッチで割り当てた /28 のネットワークになり、デフォルトゲートウェイも変更されていることを確認できました。

最後に外部通信も確認します。

[root@rwatanabe-almalinux9 ~]# ping -c 4 1.1.1.1
PING 1.1.1.1 (1.1.1.1) 56(84) bytes of data.
64 バイト応答 送信元 1.1.1.1: icmp_seq=1 ttl=58 時間=1.79ミリ秒
64 バイト応答 送信元 1.1.1.1: icmp_seq=2 ttl=58 時間=1.79ミリ秒
64 バイト応答 送信元 1.1.1.1: icmp_seq=3 ttl=58 時間=1.74ミリ秒
64 バイト応答 送信元 1.1.1.1: icmp_seq=4 ttl=58 時間=1.85ミリ秒

--- 1.1.1.1 ping 統計 ---
送信パケット数 4, 受信パケット数 4, 0% packet loss, time 3006ms
rtt min/avg/max/mdev = 1.736/1.790/1.849/0.040 ms

4回とも正常に応答し、packet lossは0%でした。

今回の変更前後をまとめると、以下のとおりです。

確認項目変更前変更後
接続先共有セグメントルータ+スイッチ
IPv4アドレス共有セグメント側IPルータ+スイッチ側IP
デフォルトゲートウェイ共有セグメント側ルータ+スイッチ側
外部通信ping成功ping成功

このように、共有セグメントからルータ+スイッチへ後から変更することも可能ですが、管理画面上の接続先変更だけではなく、OS側のネットワーク設定も変更する必要があります。

あとからルータ+スイッチへ変更する場合の注意点

共有セグメントからルータ+スイッチへ後から変更することはできますが、接続先を変更するだけでは完了しません。
サーバの停止やOS側のネットワーク設定変更に加え、グローバルIPv4アドレスの変更による周辺設定への影響も確認しておきましょう。

実際の環境で変更する場合は、特に次のような設定を確認しておく必要があります。

  • DNS設定:WebサイトなどのAレコードに旧IPアドレスを登録している場合
  • 監視設定:IPアドレスを直接監視対象としている場合
  • IPアドレスによるアクセス制限:外部サービスなどで旧IPアドレスを許可している場合
  • SSHなどの接続先情報:IPアドレスを直接指定して接続している場合

また、NICの接続先変更はサーバ停止中に行う必要があります。
サービスを提供しているサーバで実施する場合は、停止時間や影響範囲も事前に確認しておきましょう。

まとめ

今回は、さくらのクラウドの「共有セグメント」と「ルータ+スイッチ」の違いや、それぞれが向いているケースについて紹介しました。

  • グローバルIPv4が1個、100Mbpsの共有回線などで要件を満たせる場合は、共有セグメントが選択肢になる
  • 複数のグローバルIPv4や100Mbpsを超える帯域、IPv6・スタティックルートなどが必要な場合は、ルータ+スイッチが選択肢になる
  • 後から接続先を変更することもできるが、サーバ停止やOS・周辺設定の変更が発生するため、現在と将来の要件を確認して選ぶことが大切

共有セグメントとルータ+スイッチは、どちらかが一方的に優れているというものではありません。
必要なIPアドレス数や帯域、利用したいネットワーク機能などを確認し、自分の構成に合う方を選んでいきましょう。

さくらのクラウドのサーバ構成やネットワーク設計でお悩みの場合は、ネットアシストでも構築・運用をご支援しています。
「共有セグメントで要件を満たせるか分からない」「将来のサーバ増設も考えてネットワークを構成したい」といった場合も、お気軽にご相談ください!

それでは、また。

参考

本記事は、2026年9月時点で確認した以下の公式情報を参考にしています。

さくらのクラウド マニュアル「スイッチ, ルータ+スイッチとは」
更新:2026年1月8日
https://manual.sakura.ad.jp/cloud/network/switch/about.html

さくらのクラウド マニュアル「よくある質問と回答:ネットワーク構築」
更新:2026年7月24日
https://manual.sakura.ad.jp/cloud/support/technical/network-setup.html

さくらのクラウド マニュアル「よくある質問と回答:回線」
更新:2026年7月24日
https://manual.sakura.ad.jp/cloud/support/technical/network-connection.html

さくらのクラウド マニュアル「NICの作成・削除・接続先編集」
更新:2025年7月17日
https://manual.sakura.ad.jp/cloud/server/nic.html

この記事を書いた人

NER

ネットアシスト運用チーム マネージャー

さくらのクラウド検定 2024年 第2回試験 合格

【取得資格】

・LinuC Level-1 Certification

・LinuC Level-2 Certification

・AWS Certified Cloud Practitioner

・AWS Certified Solutions Architect - Associate