
【ネットアシストニュースレター | Vol.48 】

ガバメントクラウドとマルチクラウド戦略
近年あらためて「ガバメントクラウド(通称:ガバクラ)」が注目されています。
過去に2021年11月ニュースレターでも取り上げましたが、今回は現在のガバメントクラウドに対する日本国内の課題と、「マルチクラウド戦略」の必要性についてご紹介いたします。
政府主導のクラウド化が進む中、クラウド基盤の「選び方」や「使い方」こそが、システムの信頼性・可用性・将来性を大きく左右する時代になっています。現在の構成や今後の方針を検討する材料として、ぜひご一読ください。

日本政府(デジタル庁)が中心となって整備している、行政機関・地方自治体向けの共通クラウド基盤です。業務システムや住民向けサービスを安全・効率的に運用するために、複数のクラウドサービスを活用しながら構築されています。
従来、自治体ごとに分散されていたITインフラを、セキュリティやガバナンスの観点から一元的・統一的に整えることで、行政のデジタル化を支える重要な基盤として位置づけられています。

ガバクラの実態:AWSへの依存とそのリスク
2025年3月末時点では、日本国内と地方自治体の全システム2808件のうち約97%に当たる2729件が「AWS」を利用しています。AWSに次ぐのは「Oracle Cloud」ですが、全体の1.8%にとどまっています。
ガバメントクラウド利用状況(2025年3月31日時点)

※出展:https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2505/08/news049.html
その背景には、AWSの高い可用性や実績、豊富な機能群がある一方で、依存リスクという課題も浮き彫りになりつつあります。
たとえば2025年4月15日にはAWS東京リージョンで基盤障害が発生し、接続障害やレスポンスの遅延などが発生しました。
また、2025年3月にはOracle Cloudで情報漏えい疑惑が浮上する事態がありました。
こうしたインシデントをきっかけに、政府や地方自治体の間でもマルチクラウド対応の必要性が再認識されています。
さくらのクラウド、ガバメントクラウドに
条件付きで認定
そうした中、国産クラウドであるさくらインターネットの「さくらのクラウド」が、2024年にガバメントクラウドに認定されました。
※2025年度末までに技術要件をすべて満たすことを前提とした条件付きで認定
国内企業による運用、日本法準拠のデータ管理、災害時の対応体制など、国産ならではの利点が再評価され始めています。これにより、「AWS+さくら」のような複数クラウドの併用(マルチクラウド構成)も、現実的な選択肢として検討されるようになっています。
ベンダー選定が求められるタイミングは?

このような場合では、価格やスペックだけでなく、保守性・対応力・拡張性・サポート体制など、多角的な視点での評価が必要です。
クラウド環境の選択は、単にどのベンダーを使うかだけではなく「どのように使い分け、備えるか」という検討が求められる時代です。
今後の新規サービス立ち上げの構成検討や、既存環境の見直しの際には、ぜひマルチクラウド戦略の視点もご活用ください。
ネットアシストでは、AWS・さくらインターネットともにパートナー認定を受けています。豊富な実績を活かし、マルチクラウド構成やBCP対策など、ご相談内容にあわせて最適なサーバー構成の提案が可能です。
ご不明点やご相談がございましたら、お気軽にご連絡ください!
一部ご契約社様向けに「担当エンジニア制度」を
導入いたします
平素よりネットアシストのサービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。
当社では、24時間365日の体制でお客様のサーバーを運用しており、サポートエンジニアは3交代のシフト制で障害や作業依頼に対応しております。
そのため、特定のエンジニアが個別のお客様を継続して担当する仕組みは設けておりませんでしたが、より一層のサービス品質向上を目指し、2025年6月より、一部のお客様を対象に「担当エンジニア制度」 を導入いたします。
本制度では、監視対象サーバー台数の多い一部のお客様に対し、特定のエンジニアが「担当者」としてアサインされます。
障害対応や簡単な作業依頼については、従来通りシフト制のエンジニア全体で対応いたしますが、下記のような場合は担当エンジニアがより深く関与し、継続的なご支援を行ってまいります。

本制度の導入を機に、一部のお客様には担当営業及びエンジニアにて、改めてご挨拶の機会を設けさせていただく予定です(対象となるお客様には個別にご連絡いたします)
引き続き、お客様に安心してご利用いただけるよう、サービス品質の向上に努めてまいりますので何卒宜しくお願いいたします。

担当エンジニア制度に関するQ&A

「IDCFクラウド バックアップ」開始

弊社パートナーのIDCフロンティア社より、新しいバックアップサービスが開始されました。これにより、従来のスナップショットの提供だけでなく、様々なバックアップの選択肢が増えることになりました。
https://www.idcf.jp/cloud/backup
従来の「スナップショット」

従来のスナップショットには以下のような問題がありました。
●ディスク容量が大きい場合、スナップショット取得に時間がかかる。
●毎回フルバックアップを行うためボリューム単位課金となり、コストが高くなる傾向。

新しい「IDCFクラウド バックアップ」

「IDCFクラウド バックアップ」は下記の点が優れています。
●増分バックアップ対応
初回のフルバックアップ以後は増分バックアップに対応しているので、高速バックアップが可能です。
●データ圧縮
増分バックアップに加えデータを圧縮して保存するため、今までのスナップショットと比べ無駄なコストを削減できます。
●リスク分散
IDCFクラウドとは異なる拠点上のクラウドストレージにデータが保存されるので、リスク分散に優れています。
●柔軟なリストア
リストアはシステム全体だけでなくファイル単位での復元にも対応しているので、迅速なロールバックが可能です。
なお、特定の状況(ディスク容量が少ない、バックアップの世代数が少ない等)によっては、スナップショットが優位な場合もあります。使用用途に応じて適切なバックアップ方法をご提案いたしますので、お気軽にご相談ください。